ゲイがつらつらと書くブログ。

好きだけじゃだめなんだ

何年か付き合っていた人と、先日別れを迎えた。

彼は別れたくないと言っていたし、私も別れたくはなかった。

 

彼のことは好きだった。

 

だけど、お互いにお互いを理解することが本当に難しくなってしまって、私がボロボロになって耐えられなくなってしまった。同じ部屋で暮らしていて、自分が当たり前だと思っていたことが、彼にとっては当たり前ではなくて、なんでわかってもらえないんだろうと思うことが毎日続いた。好きという気持ちだけで今までなんとかやってきていたけれど、自分が大切にしたいと思っていたことを大切にしてもらえない日々を過ごすうちに、好きかどうかもわからなくなってしまった。

彼のほうも理解しようと努力はしてくれていたし、私も彼のことを理解しようと努力はしていた。そう、お互いに努力はしていた。それでもやはり、私の心を打ち砕くような決定的なことが重なり、私は自分の気持ちを保てなくなってしまった。彼と私が唯一違ったのは、彼はそのことに対して、良くも悪くもナーバスになることは無かったことだ。私もそんな風に生きれたら、とは思うが、そんな風になりたくはない、とも思う。

 

私は、彼と共に2人の人生を歩むつもりでいた。おそらく彼は、彼自身の人生のひとつの要素として私という存在があっただけなのだと思う。パートナーでも家族でもない、彼の人生のアクセントのひとつだったのだ。その違いに気づいてしまった時から、私の中から好きという気持ちが少しずつ薄れていってしまった気がするし、彼と2人で描こうとしていた未来が描けなくなってしまった。

 

そして、彼は今よりも遠く離れた土地で生きることを決めた。

 

毎日一緒に居て、お互いが努力しているのにも関わらず分かり合えないのに、さらに離れて暮らすことになったとき、私たちはどんな関係になるのだろう。今よりも良い関係になるとは思えなかったし、これ以上苦しい思いもしたくなかった。私にとって彼がどんな意味を成すのか、彼にとって私は何なのか、考えても考えても、悲しいくらい良い答が出てこなくて、私は別れることを決めた。

 

彼のために、時間や友達、仕事、趣味、色々なことを犠牲にしてきた。今更戻れないという思いもあったが、それ以上に、私の人生で犠牲とするものをこれ以上増やしたくなかった。とはいえ、犠牲にすることを選択したのは私だし、その点について彼を責めるつもりは毛頭無い。もう私は大人なのだ。自分の人生を他人の所為にするほど、落ちぶれてはいない。そう自分に言い聞かせて、今は先のことだけ考えることにしている。

これまで何人かと付き合い、別れてきて、その度に色々なことを学んできたつもりだったが、今回学んだことは「お互いがどれだけ好きでも、二人でどう頑張っても、理解し合えない人間は、恋人や人生のパートナーになれない」という、当たり前といえば当たり前の、なんとも悲しい教訓だった。もし時間が戻せるなら、彼と出会う前に戻したいけれど、どうせできないことなので、願うくらいは許していただきたい。

 

 

彼と別れてから、誰かに話を聞いて貰おうと思った結果、私は元カレに連絡をとった。当時私の身勝手で酷いフリ方をしてしまったので、どんな顔をされるか些か不安ではあったが、数年ぶりに会った私の話を色々聞いてくれた。時が経つのは早いもので、付き合っていた当初20代前半だった元カレも、もう30になろうとしていた。

「そういえば前にTwitterで、どっかのゲイが『別れました』って報告をしてた時に、リプで『お疲れ様』ってその人の友達が言ってて、『お疲れ様って、それってどうなの?』って炎上してたんだよね」

元カレが場を持たせようとしたのか、何気ない話題をしてくれた。私もあと5年若かったら、Twitterに別れました報告をしていたかもしれない。

 

しかし私はつい先日、友人に別れを報告したときに「お疲れ様」と返事を貰っていた。

それに対して失礼だと思うことはなかったし、友人は私が恋愛に疲弊しきっている様子を何度も何度も見ていたし、時には手を差し伸べてくれていたので、その一言が私にとっては有難かった。うん、もう、本当に疲れたよ、とその返事を見ながら私は思った。Twitterで炎上したそのゲイのことは良く知らないけれど、何か疲れる恋愛をしていたのかもしれないし、単にそういう文化なのかもしれない。最近は理解できない若者やゲイの文化が増えてきて、年をとったなとしみじみ感じさせられる。

 

しばらく恋愛はいいかなぁと思うけれど、またそのうちするかもしれない。付き合いはじめの頃と比べると、気軽に遊べる友達が極端に減ってしまったので、また人間関係を一から始めないといけないのが出不精の私にとって最大の難関だが、前向きに考えて生きていかなければならない。

 

今30代半ばだが、思い返せば20代の頃、30代のキラキラした大人に何度もトキメいてきた。今度は私がそうなっていなければならないし、そうありたい。

 

 

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