夏は海とプールの季節。
小麦色の肌ではしゃぐ若者たちは、全身で夏を満喫しているなと思う。
それを横目に、私は日焼け止めを全身に塗りたくる。
色白で、日焼けすると黒くならずに赤くなる。
部屋の引き出しにはTシャツがそれなりにあるが、殆ど白いシャツである。
黒いシャツは私の肌色を青白く不健康に見せる。
1ミリでも細く見られたい私としては収縮色を選びたいが、白のほうが自分に合うし光を吸収しない。
Tシャツを買い替える時は、本能的に白を選ぶ。
部屋にあるものも同じである。
好きな緑を基調に、白の配色が多い。
ベッドのシーツも白だった。
仕事から帰ると、身体をベッドに委ねる。
横になってスマホをぽちぽちしながら、シーツにシミがあることに気づく。
白は、汚れやシミが落ちにくい。
こまめに洗濯をするものの、なかなか落ちないものもある。
ベッドにコーヒーを溢したわけではない。
このシミは、星なのだ。
星の光は、
何万光年も離れた場所から届くらしい。
ここに届く頃には、
もうその星は無いのかもしれない。
そんな話を思い出しながら、私はシーツに浮かぶ星に思いを馳せた。
その星はいい匂いがした。
抱きしめた時の匂いが、鼓動を加速させた。
ふとその匂いに出会うと、思い出した。
その匂いが、寂しかった。
その星の光は私を誘惑した。
今すぐ会いたいと言われ、他の予定はキャンセルした。
何度も光り、目が痛くなった。
眩しくて、憧れていた。
その星は誰にも見せられなかった。
お互いに秘密があった。
誰にも言えなかった。
好きと言えないまま、胸だけが痛んだ。
その痛みを、慈しんでいた。
その星は時に可愛く、時に泣き虫だった。
キラキラした光は私を癒した。
光れない星は大粒の涙を流した。
震える肩は腕の中で叫んだ。
この星を、守りたいと思った。
その星は、私だった。
誰にも見つけられずに光っていた。
いつか誰かに届くことを祈っていた。
周りの星がきれいに見えた。
一等星に、なりたかった。
シーツの星たちを眺める。
消えない星は、あの頃を思い出させる。
瞬き続ける夜空は、私には眩しすぎる。
私はシーツを買い替えた。
白いシーツを洗濯して、星たちが輝いていることを確認すると、クローゼットの奥にしまった。
新しいシーツは夜空の色。
これからもきっと、星が生まれては消えていく。
星の無い夜空にダイブした私は、
一等星になれた気がした。