ゲイがつらつらと書くブログ。

手を振る角度は30°

茶道部がマラソンでいつも以上にパワーを使うように、人見知りは人と会うのに相当のパワーを使う。
出会い系アプリの「こんにちは」で手に汗をかく。
「会いましょう」なんて日には、待ち合わせ場所まで全身から汁が吹き出る。
そんな私が一滴も体液を出さずに会える友人は言った。

「お昼ご飯食べて、遊んで、夕飯も食べることってある?」

唸りながら脳みそにある箪笥の引き出しを漁る。
昼食を人と食べた記憶は奥のほうでカビが生えかけていた。

「ある」

腐りかけであることは伏せておいた。

「僕は全然無くてさ」

友人は言った。

「僕と一緒にいると相手を疲れさせてしまうんじゃないかと思って」

少し喉の奥に引っかかったような物言いだった。

「だから僕から解散するような雰囲気を出してしまう」

ご飯を食べて街中をブラブラする。
夕方近くになった時に、そろそろ時間だねと言う。
夕飯はどうするの?と聞く。
自宅の近くで食べようかな、と相手は言う。
それじゃあ、と言って相手は離れていく。
バイバイ、と胸元で軽く手を振る。

「なんだか、寂しいね」

「寂しいよ」

友人はまっすぐ私を見た。

「自分もそういうときあるよね」

「その時も寂しい気持ちになってるよ」

私は目を逸らして、部屋に舞う埃を数えた。
西日が差し込んでいる。

「今度はさ」

私は言う。

「お昼たべて夜もたべようね」

 

 

 

     

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