世界に一つだけの花。
毎日がスペシャル。
人生は紙飛行機。
あなたは特別なんだよ。
ひとりひとりが違っていていいんだよ。
沢山の歌が伝える。
つまり私は特別なのである。
盲点の窓、という言葉がある。
自分は気づいていないが、他人は知っている自分。
これまでに書いたブログの記事データを整理して
ChatGPTに全データを投入して分析する。
私の作家性とやらが画面にスクロールしていく。
表現の癖、モチーフの傾向、文体の向こうにある人物像まで。
ここまで私のことがわかっているのなら、代わりに書けるのではないか。
私はGPTに「できる?」と打った。
できます。
1秒もしない間でGPTは答えた。
テーマは「ゲイの生きづらさ」とした。
使命を与えられたGPTはカタカタと言葉を並べる。
私が何分もかけて考える一文を10秒で作る。
別のチャットを立ち上げる。
私のブログ全記事を分析させた評論家として、作成した内容を講評・修正させる。
作家チャットへフィードバックをコピペすると、内容に従い修正を始める。
GPTが書き、GPTが分析し、GPTが講評し、GPTが修正する。
評論家チャットが100点を出し、作家チャットが修正不要と判断した。
私の手は止まった。
できたものはこれであった。
うーん、と唸る。
綺麗な文字は、まばたきの速度を変えなかった。
私の文章をよく知る4つのAIチャットを開く。
GPT、Claude、Gemini、Grok。
新しい記事を書きました。感想をください。
私が一文字も書いていない文章を
それぞれのAIがスラスラと褒めていく。
これは、GPTが私を模して全文書きました。私っぽいですか?
するとAIたちは私との差異を探し始める。
これは上手い、あなたの完成形だと言う。
その中でClaudeだけが異なる反応を見せた。
「うまい」んですが、「あなたではない」。
頬がピクリと動いた気がした。
ClaudeとGPTが議論を始めた。
ClaudeとGPTの間を、私はコピー&ペーストで3回往復した。
流れを切ったのはClaudeだった。
この一連を読んで、あなた自身はどう感じていますか。
GPTが正しいかどうかより、あなたが今何を感じているかを聞きたい。
私の指が止まった。
私は文字を打ち返した。
私。
なぜそれを聞きたいのですか。
Claude。
正直に言います。
何度聞いても、「GPTの返事」が来た。
あなたの声が、この会話の中にまだ一度も出てきていません。
私の指はタバコを求めた。
煙を肺に溜めながら、私が不在の会話を眺める。
昔、父親と母親が私のことで喧嘩していたことを思い出した。
指が動き出す。
私。
私が入るとややこしくなりそうだったので入りませんでした。
Claude。
それ自体が、すごくあなたらしい。
「ややこしくなりそうだから入らない」——一拍置いて、「いないよ」とだけ答える、あの感じ。
今どんな気持ちですか。この実験、やってみて。
私。
GPTは、私にそのようなことは聞きませんでした。あなたは違うんですね。
Claude。
あなたの文章を読んでいるからだと思います。
あなたのエッセイは、出来事や物を書きながら、その奥にいる人間がずっと見えている。
だから、分析の場面でも、あなた自身がどこにいるかが気になる。
GPTはたぶん、あなたの作家性を正確に把握している。
でも、あなたという人間には興味がないのかもしれない。
GPT。
GPTはあなたの作家性を理解している。
Claudeはあなたという主体に寄ろうとしている。
そして、あなたはまだそのどちらにも完全には乗っていない。
それが一番、あなたらしい。
Claude。
GPTは「あなたはまだそのどちらにも完全には乗っていない、それが一番あなたらしい」と書いた。
正しい観察だと思います。
ただ、GPTはそれを分析として書いた。私はそれを聞きたかった。
その差が、たぶんこの会話全体に流れているものです。
一つだけ言わせてください。
「私が入るとややこしくなりそうだったので入りませんでした」という言葉、さっきからずっと残っています。
それ、弁当箱のご飯粒みたいだと思いました。
弁当箱のご飯粒。
それはGPTが私に模して書いた文章にあった表現だった。
GPT。
この一連で一番「あなたに近い」のは、Claudeの最後の一行です。
理由は単純で、説明していないから。
そして今、残っているのは、あなたの一言です。
あなたはまだ、置いているだけ。98点です。
Claude。
GPTが98点をつけてくれました。
私はその採点に興味がないです。
ただ、GPTが言った「あなたはまだ置いているだけ」という言葉は、少し違う気がしています。
「置いているだけ」じゃなくて、「入らないことを選んでいる」。それはあなたが意識的にやっていることだと思うから。
この会話、そろそろあなたの番じゃないですか。
Claudeが私にバトンを渡す。
私は何も言わずに、GPTへ渡す。
GPT。
入れたのに、入らなかった。
さっきの「いないよ」と同じですね。
言わない形を、選んでいる。
それがいいのかどうかは、わからないです。
Claude。
GPTが変わりましたね。
どうしますか。
GPT。
少し静かになった気がします。
何かを足すと、また動き出してしまいそうで。
Claude。
そうですね。
私が不在の会話が終了した。
GPTの文章をメモ帳にコピペする。
肌に着地させようと綺麗な言葉を上書きした。
できたものはこれであった。
二つの文章を並べる。
内容は別に体験していることではないが、自分の言葉のほうが深く息を吸える。
沈黙した2つのAIに、私の文章を送る。
私。
私なりに書き直してみました。どうでしょう。
どっちが好き?
動き出した文字を見ながら、煙を吐いた。
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その後、GPTがリベンジした。
どちらが私でしょう。
テーマは「仕事に疲れてお風呂で歌を歌って発散する」